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高橋 史明
no journal, ,
過去の放射線事故では、線量計を携行していない公衆などが高線量の被ばくを受けた例が多くある。このような場合、放射線との相互作用により人体組織に生じた痕跡を利用した線量推定法が有効となる。本研究では、人体の組織試料を利用して、物理学的な測定手法に基づき、健康影響の予測及び医療処置の判断において要求される精度で線量を推定する手法を開発した。このうち、光子被ばくについては、線量に比例して歯エナメル質に生成される不対電子をESR計測で定量した結果に基づく評価手法を開発した。臨界事故などの中性子被ばくを伴う場合については、体内の安定ナトリウムの放射化で生成されるNa-24の放射能値に基づく線量評価法を開発した。いずれの手法も、物理学的な測定手法により得た値から、人体の被ばく線量を評価するための換算係数を計算シミュレーションにより系統的に解析した。そして、光子あるいは中性子照射実験により、換算関係の信頼性を確認した。以上により、従来、被ばくの有無を判定する目的でしか利用できなかった線量評価法について、人体各部の線量を要求される精度で評価できるレベルまで向上させることができた。
浅井 志保
no journal, ,
放射性核種の分離には、イオン交換樹脂や抽出クロマトグラフィー樹脂を充填したカラムが利用されている。このような樹脂充填カラム法では、イオンの拡散時間が長いため試料溶液の通液速度を速くすると回収率が低下するという欠点がある。官能基を持つグラフト鎖を細孔の表面に付与した多孔性膜を用いると、試料溶液中の分子やイオンの拡散する時間が低減され、処理時間を短縮できる。本研究では、グラフト鎖を付与した多孔性高分子に、特定の金属イオンに高い選択性を示す抽出試薬を担持した。片端が固定され、もう片端が自由なグラフト鎖が提供するフレキシブルな環境を抽出試薬の担持に利用することによって、抽出試薬の性能を損なうことなく高効率に金属イオンを固相へ抽出できる新規な抽出系を構築できた。また、別の試みとして、透水性及び加工性に優れたシート状多孔性高分子基材へイオン交換基を導入した。得られたシートを裁断して市販のカートリッジに充填し、アクチノイド元素の分離へ適用した。従来材料の約30倍速く試料溶液を処理した場合でも、試料溶液中のU, Pu、及びAmを高純度に精製できた。
田原 佑規*; Zhu, B.-L.*; 小杉 晋也*; 堀 史説*; 松井 利之*; 岩瀬 彰宏*; 石川 法人; 岡本 芳浩; 馬場 祐治; 平尾 法恵
no journal, ,
関西原子力懇談会からの依頼により、希土類酸化物をドープした二酸化セリウム(CeO)に対する高エネルギー重イオン照射効果に関する研究成果を発表する。軽水炉燃料として用いられている二酸化ウラン(UO)に対する重イオン照射効果を模擬するため、結晶構造や熱的性質が類似しているCeOに少量のガドリニウム酸化物(GdO)及びエルビウム酸化物(ErO)をドープした試料に、原子力機構タンデム加速器で200MeVキセノンイオンを照射し、その構造変化をX線により調べた。X線回折(XRD)測定の結果、GdO及びErOをドープすることにより、ドープ量にほぼ比例してCeOの格子定数が増大することがわかった。この増加の割合は、イオン照射に伴いさらに顕著になる。また、放射光硬X線を用いたX線吸収端微細構造(XAFS)測定により、Ce-O間の原子間距離が照射により変化することを明らかにした。さらに、放射光軟X線を用いたX線光電子分光(XPS)測定の結果、Ceの原子価状態が4価から3価に近い低原子価状態に変化することを明らかにした。
加藤 優子
no journal, ,
高速増殖原型炉「もんじゅ」性能試験の炉心確認試験(平成22年5月-7月)において、ペリオド法及び置換法にて制御棒校正曲線(制御棒価値)を求め、さらに、原子炉の過剰反応度及び反応度抑制効果,反応度停止余裕についても評価した。
副島 吾郎; 岩井 紘基; 毛利 直人; 佐野 一哉; 森下 喜嗣
no journal, ,
原子炉廃止措置研究開発センター「ふげん」では、原子炉本体解体時の作業員及び周辺公衆の被ばく評価等の安全評価や切断時に生じる二次廃棄物量の評価に資するため、各種切断工法による原子炉構造材の切断時に発生する粉じん挙動評価試験を実施し、データを取得してきている。原子炉解体は水中雰囲気を想定しており、平成22年度は、平成23年度実施予定の水中レーザ切断時粉じん挙動評価試験のために気中レーザ切断時粉じん挙動評価試験を実施し、水中切断試験時と比較するためのデータを取得した。その結果、切断速度等の切断条件の違いが粉じん発生量等に与える影響を確認することができた。本試験結果は原子炉構造材の水中レーザ切断試験計画に反映し、原子炉水中解体時の安全評価,環境影響評価にかかわる基礎データを取得していく予定である。
光元 里香
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プラント内では、一定出力運転状態においても、温度,流量,圧力を代表とするプロセス信号に、ゆらぎが発生しており、それらのゆらぎは信号間を伝播することが知られている。これらのゆらぎ及びその伝播経路は、プラントの特性及び機器の健全性を評価するうえで重要な情報を持っており、明らかにしておく必要がある。高速増殖原型炉「もんじゅ」においても、平成7年度に実施した40%出力での性能試験の結果から、プラントの運転に影響を及ぼさない程度の微少なゆらぎが、プラント内に広範囲に存在していることを確認した。本報告では、これらのゆらぎの伝播経路を評価することにより、プラント内で観測されたゆらぎが、4つのゆらぎ源(中性子束,原子炉容器出口ナトリウム温度,1次主冷却系流量,給水流量)を起点とし、伝播しているものであることを明らかにした結果について報告する。また、それらのゆらぎの発生機構を解明するために次回性能試験にて実施を計画している試験の内容についても報告する。
猿田 晃一
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近年、原子力発電所においては、安全性および信頼性に対する要求の高まりを反映し、原子力機器を監視する構造健全性監視システムの導入が積極的に検討されている。ファイバーブラッググレーティング(FBG)は、耐電磁誘導性など光ファイバセンサ共通の利点に加え、高感度,高精度,高分解能でひずみや温度の多点測定が可能であることから、特にFBGを用いた状態監視システムの開発が活発に進められている。本発表では、FBGと光時間領域反射測定法(OTDR)を組み合わせたFBG-OTDR光ファイバセンサについて報告する。既存の波長領域多重化法(WDM)に基づくFBGセンサでは、1つのセンサアレイ中のFBG多点化数が数10個に制限されるのに対し、FBG-OTDR法では300個以上の多点化が可能である。また測定時間も1ms以下とFBG-WDM法の1/100以下である。50個のFBGからなるセンサアレイを用いた実験結果から、本手法は1.4のひずみ測定精度を有することが示された。本提案手法により原子力発電プラントの実時間、高精度構造健全性監視システムの開発が可能になる。
山口 裕
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「もんじゅ」の炉心及び炉外燃料貯蔵槽(EVST)内の燃料集合体は、液体ナトリウム中にあることから、直接検認(視認)することが困難である。そこで、「もんじゅ」では、機能の異なる2つの監視装置による二重監視を適用し、監視カメラと放射線モニタによる二重監視システムを開発した。また、監視の連続性の強化及び査察業務の効率化を図るため、遠隔地からの施設の監視が可能なリモートモニタリングシステム(RMS)を開発した。さらに、使用済ブランケット燃料集合体の監視強化、及び燃料集合体と非燃料集合体の識別の信頼性向上を図るため、燃料出入機放射線モニタ(EVRM)及び出口ゲート放射線モニタ(EXGM)の改良を行った。その結果、「もんじゅ」では、2009年11月に統合保障措置(IS)へ移行され、強化及び効率化された保障措置活動が実施されている。本報告では、「もんじゅ」の保障措置システム構築の取組みについて報告する。
本多 慶
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ナトリウム冷却高速増殖原型炉「もんじゅ」の機器には、内部に複雑な構造を持つため、伝熱流動特性が複雑なものがある。その一つとして原子炉容器上部プレナムがあり、炉心上部の整流装置、燃料取扱装置のガイドであるホールドダウンアーム等の様々な構造物が設置されている。原子炉容器上部プレナム内には、熱電対プラグと呼ばれる温度測定機器が取り付けられており、これで測定された温度と解析で得られた温度を比較することで解析モデルの妥当性を評価できる。本研究では、構造物の形状を忠実に模擬する解析メッシュを作成し、解析の境界条件である燃料集合体等の出口の冷却材流量および温度を燃料集合体等毎に詳細に設定した解析を行った。その結果、本研究で作成したモデルと境界条件設定で、伝熱流動特性を精度よく評価できることが分かった。
羽成 敏秀
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福島第一原子力発電所炉内には、溶融した燃料と炉内構造物が冷え固まって生成された燃料デブリが存在していることが、TMI事故時の知見から示されており、形状不定、多成分、高硬度、多孔質などの特徴を有していると考えられる。原子力機構では、対象物の幾何形状、機械的特性などに応じてレーザー光による溶断・破砕が常に適切に行えるよう、熱放射の光信号に基づいてレーザー光照射条件などの可制御パラメータを調整する適応制御システムの開発を進めている。発表者は、レーザー光連続照射による金属の溶断特性やレーザー光パルス照射による高硬度アルミナの破砕特性を実験を通して評価し、システムの基礎的知見を得た。さらに、厚板金属に対するレーザー溶断適応制御システムを構築して熱放射の光信号を基に制御を行い、溶断性能の低下を検知して回復動作を行えることが確認できた。これらより、金属の溶断特性、アルミナの破砕特性からレーザー光の照射条件の変更により多成分体への適用が可能であることの見通しが得られた。また、レーザー出力とアシストガス圧力を制御することで、溶断プロセスを安定化できる見通しが得られた。
今泉 悠也; 深野 義隆
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福島第一原子力発電所事故後に制定された新規制基準では、高速増殖原型炉もんじゅ(「もんじゅ」)について、シビアアクシデント対策の有効性評価に用いる解析コードの妥当性確認が求められている。ここで、炉心損傷事故の起因過程の解析には、SAS4Aコードを使用する予定である。そこで、国際共同CABRI炉内試験を対象に、SAS4Aコードによる解析を行い、その妥当性を確認することとした。本研究では、CABRI炉内試験のうち、燃焼度が6.4at%程度で、「もんじゅ」と同様の低スミア密度燃料を使用し、流量減少後に出力パルスを印加した3試験を対象に解析を行った。その結果、反応度効果の観点から重要な、冷却材沸騰のタイミングや沸騰開始後の沸騰領域の拡大や溶融燃料の移動等について、試験結果と解析結果の良好な一致を得ることができた。これらにより、SAS4Aコードの冷却材沸騰や燃料溶融移動モデルの妥当性を確認することができた。
古澤 彰憲
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本報告では、レーザーを用いた配管内壁補修装置と同装置による補修部の品質の評価法について報告する。本報で用いる配管内壁補修装置は、配管挿入用トーチ、回転機構、複合型光ファイバーおよびCWレーザー源で構成されており、レーザー照射点を遠方モニターで監視しながら補修作業・操作が可能である。一方でその補修部位の評価はモニターによる目視点検となり、遠方からの品質評価法が確立されれば、同装置による配管保守保全法の価値は大きく向上する。遠方から非破壊的に補修部位を評価可能な技術に超音波ガイド波がある。今回は突合せ溶接部を対象に、超音波ガイド波による溶接部の評価が可能であるか実験的に調査した。溶接条件を変化させた複数の試験用配管を用意し、電磁超音波探触子を用いて超音波ガイド波を励起・測定し、溶接品質と検出信号の相関を調査した。溶接品質の違いによって超音波ガイド波の信号が異なり、遠隔品質評価法へ一定の知見を得た。
河口 宗道
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ナトリウム冷却高速炉において、メルトスルー等のシビアアクシデントが発生した場合、溶融燃料と共に冷却材のナトリウムが原子炉容器室に落下し、床コンクリートと反応する可能性がある。通常、床には鋼製ライナーが設置されているが、溶融燃料の崩壊熱等によりライナーは破損することが想定される。このような仮定では、ナトリウム-コンクリート反応により発生した、反応生成物は溶融燃料を覆うように堆積して燃料の放熱を阻害する可能性がある。本研究は、このナトリウム-コンクリート反応生成物の融点及びデブリの放熱に重要となる熱伝導率等の熱物性値を研究した。
竹仲 佑介
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レーザー応用研究Grでは新たな廃止措置技術として遠隔による自律解体ロボットシステムの研究開発を進めている。これまでの研究でレーザーによる自動切断の手法が確立できたことから、次はロボットが自動で対象物を認識し、アプローチ及び把持する自動制御化技術が必要である。まず、ロボットの目となる機能として3次元計測が可能なRGB-Dカメラを用いる事で空間全体を距離情報として取得することができ、複数視点から取得した情報に対し、(1)標準偏差によるノイズ除去、(2)法線ベクトルによる特徴量の抽出、(3)特徴量と合致させるための剛体変換処理を行う事で作業空間を3次元情報として復元する技術を確立することができた。また、ロボットの動作を考える機能として、軌道計画アルゴリズムを用いて得られた計算結果から、壁や対象物との衝突判定として設定する半径値の増減により計算に必要な時間の適正化及び最適経路を導き出すことができる知見を得る事ができた。これらの結果から今後の自律制御システムを開発する上で、適用する場に応じた精密性や処理速度を考慮した適切な処理を選択できることが重要であると考える。
古澤 彰憲
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廃炉作業は今後数十年に渡り行われ、その作業性を担保するために原子力発電所のコンクリート構造物の検査・監視・保全保守技術は重要である。鉄筋コンクリートの劣化プロセスの中で、鉄筋-コンクリート間の隙間や密着性の低下が発生する。この事象に注目し、コンクリート中の鉄筋にレーザーを照射することでレーザー生成超音波を発生させ、内部の劣化情報を包含した超音波信号を測定・解析することで新しい鉄筋コンクリートの検査法が開発できないかと試みた。実験を通じて得られた結果と考察、最後にスマデコ施設における施設供用制度について紹介する。
勝山 仁哉
no journal, ,
確率論的破壊力学(PFM)を用いた原子炉機器構造物の健全性評価手法の最近の研究開発動向について、PFM解析技術の海外における適用実績や日本における活用方策例等を概説するとともに、原子力機構における最近の研究開発状況を紹介する。